お知らせ
福島第一原子力発電所を視察しました(建女ひばり会研修にて)
令和7年3月10日、(一社)茨城県建設業協会 建女ひばり会による研修の一環として、当社から女性社員2名が「福島第一原子力発電所」の視察に参加しました。震災から14年が経過し、報道で目にする機会は減りましたが、今も続く廃炉作業の現状を実際に見てきました。
視察は、富岡町にある「廃炉資料館」の見学から始まりました。ここでは、東日本大震災および原発事故当時の状況について、映像や資料を通して学ぶことができます。その後、東京電力様の専用バスで発電所構内へと移動しました。
現在、構内では約4,500人の方が作業に従事しており、事故当時の7,500人からは減少しているものの、今なお多くの方々が日々作業にあたっています。敷地内の約96%は一般作業服+マスクで移動可能な区域となっており、放射線量の低下が進んでいることがわかりました。
発電所構内に入る際には、「入退域管理棟」にて厳重なセキュリティチェックがあります。スマートフォンやカメラ、バッグの持ち込みは禁止されており、私はポケットに入る視察ルートが記載された用紙とボールペンのみを携行しました。視察者は指定のベストと個人線量計を装着して構内に入りました。なお、構内で作業に従事する方々は、緊急時の通知や情報提供用の専用端末を常時携行しているとのことです。
震災以降に新設された建物も多く、被ばくリスクを抑えるため、窓のない構造が主流となっていました。また、構内では調理ができないため、近隣の給食センターで調理された食事が食堂で温められ、提供されています。
福島第一・第二原発の敷地面積は約350万平方メートル。これは東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせた広さの約3.5倍に相当します。地下水の流入を抑える工事により、汚染水の発生量は1日540m³から90m³へと大幅に減少していました。
バスに乗車したまま1号機から4号機の建屋に近づいていくと、線量計の数値が徐々に上昇していく様子が確認できました。建屋から約100メートル離れたデッキに到着した際には、0.024ミリシーベルトを計測。事故当時テレビで見た爆発した建屋を目の当たりにし、錆びついた鉄骨や腐食の進んだ外観に胸が締め付けられる思いがしました。
1〜3号機の燃料デブリの取り出しは、2030年代に入ってからの予定です。また、1号機にあった120メートルの排気筒は高線量のため無人での解体が必要で、地元企業「エイブル」様がわずか8か月で自社開発した解体用ロボットにより、60メートルまで解体され、現在は排気筒に蓋がされています。
2023年には「処理水海洋放出」のニュースが大きく取り上げられました。ALPS処理水とは、放射性物質を安全基準以下まで浄化した水で、さらに海水で薄めたうえで海に放出されています。敷地内には、この処理水を保管するタンクが現在も1,000基以上設置されているとのことでした。
構内で働く従事者の方々も、私たちと同じく年に1回の健康診断を受けており、年間の被ばく限度は50ミリシーベルト、かつ5年間で100ミリシーベルトとされています。なお、今回の約1時間の視察での個人被ばく量は0.001ミリシーベルトで、これは歯のレントゲン撮影よりも少ない数値であり、健康への影響はありません。
建屋近くにある「Redゾーン」と呼ばれる放射線量が特に高いエリアは、立ち入りがさらに厳しく制限されています。この高線量区域で除染作業を行う作業員の方々は、防護服と全面マスクを着用し、夏場は午後2時までに作業を終えるなどの時間制限が設けられています。熱中症対策として、メッシュベストに保冷剤を入れる工夫もされているとのことでした。
現在、日本の発電は火力に大きく依存しており、一部地域では関西方面の施設に頼っている状況です。私たち一人ひとりが、日常の中で節電を心がけていく必要があると、改めて感じました。
今回の視察では、東京電力様および協力企業の皆様から多くの資料と丁寧なご説明をいただきました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。
そして何より、日々この現場で廃炉作業に取り組んでおられるすべての皆様に、深く感謝申し上げます。
※構内は撮影禁止のため、写真はなく文章のみでのご紹介となります。ご了承ください。